2016年2月号 ♣来てほしくないお客様♣

2016年01月20日

理事長コラム

春の風が吹いている2月  
    来てほしくないお客様

    この寒い冬でも健伸の子は外で遊びます。外と室内の出入りが頻繁なので季節に関係なく外気は室内に侵入します。
朝、登園してくると、雨が降らない限り、10時半頃まで外で遊んでいます。                         この時期は、子ども同士の関わりも広がって、遊んでいる姿が動画になり、カメラではなくビデオを持参することが多くなります。
北海道の恵庭幼稚園のスタッフが、ネットで健伸幼稚園を紹介して以来、この時期になると北海道の幼稚園の視察が多くなりました。自由に遊んでいる元気な姿を見学するために早朝から視察に来られます。
「北海道知っているよ」「旭山動物園いったことあるよ。」「メロンがおいしかったよ」
「ビレイは、お花が いっぱいあるとこでしょう?」

 そんなある日、竹組のデッキで子どもが、大きな紙を貼り合わせた畳3畳くらいのスペースで、大きな段ボール製のサイコロらしきものを転がしてあそんでいるところに通りかかった。
「双六あそびだね。よーし先生がサイコロ振るよ。」と声をかけた。ところが、だれも私の振ったサイコロに見向きもしないで、自分たちが担任と一緒に考えた双六ゲームだった。T君がサイコロを振った。3の目がでた。3の陣地に立っていたG子ちゃんが、得意のダンスをする。そしてGちゃんがサイコロを振る。ドキドキしながらゲームに夢中になっていた子どもたちにとって、私の余計な介入は意味がなかった。冷や汗を描く思いで、撤退することになった。

 翌日、案内をしている途中で、年長のお正月あそびの集いで、カボチャのような大きなコマを回す役をすることを思い出した。
昨年は、2回も失敗して3回目にどうにか回すことができた。しかし、あれ以来、練習もしていない。
「回せないかも・・・」急に不安になって、緑の塔のデッキで秘密練習を2回ほどしたが、思うように回らない。     昼休みに練習することにしてその場を離れた。見学の先生の案内をしながらデッキに戻ってショックを受けた。
大きな重いコマをもったY君。そのY君が、身体をよじるようにひねってコマを投げ出した。               なんと!コマが元気に回っているではありませんか!。
大人の私でさえ、手にもってヒモを回すだけでもフラつくのに・・・
年長児のY君が、ハンマー投げの室伏選手のようにくるくる身体をよじらせてコマを空間に投げ、見事に回した。
信じられない思いは、Y君の側にいたケンジ先生も同じ。もしかしたら、偶然と思ったのかもしれない。            「すごーい。だけど、もう一度やってみたら」と声をかけた。
「いいよ」気軽に答えたY君。長い太いヒモを小さな手で、押さえるように巻いた大きなコマを脇の下に抱えた。                     そして、体を腰でひねるようにしてコマを振り出すと、なんとコマは元気に回っているではないか。
コツを学習したY君。「これは天性の運動神経だ。こどもってすごい。」と思い知らされた。
幼稚園を創立した頃の私は、30代、7段の跳び箱を跳び、サッカーボールを天高くキックし、剣玉もコマ回しもマジシャンだった。
今は、走るのも跳ぶのも、年長児に勝る技は、ほとんど無い。
私が歳をとっただけでなく、子どもの能力が高くなってきたこともある。
駆け足、マラソン、お手玉、縄とび、、、、、5歳から6歳は伸び盛り、子どもの伸びる力の源は、限りなく深く感じます。

    今年は、オリンピックイヤー。活気ある風が期待される。
その一方で、シリアからの難民、世界的なテロへの恐怖、北朝鮮の核実験・・・                    地球の危機につながるような不安感が漂いますね。
去年の流行語大賞「爆買」に象徴される中国経済の膨張は、入道雲に似て、バブル崩壊の不安を感じさせられますね。

 穏やかであった正月3日の風も、今朝(1月18日)は、冷たいみぞれ、荒れ模様の冬将軍の気配を感じるようになりました。
これからの季節に吹く風は、春を運んでくれる南島からの追い風ばかりではなく、冷たい北方大陸からの逆風にもなります。
無事の航海をするためには、船長の「風を読む」経験を重ねた直感力が問われます。「風を読む直感力」は、幼児の頃の泥んこ等の遊びの体験学習で身に着けていきます。子どもは、友だちとかかわってあそぶことで、風を読む力を獲得していきます。
「良くなるという期待が高まると、それが追い風になって、子どもは上昇気流に乗ることもある。」
「風に乗る勇気と意欲をもって、努力をすれば、逆風も順風になる。」
地上四百メートル上空には、偏西風が吹いていて、風に向ってヘリコプターで網を引くと,バッタ、蜘蛛、草花の種・・・       がかかるそうです。
風に乗れば、鳥、昆虫も、遠くアメリカ大陸までたどり着くことができるのでしょう。同時に北京の空を被うスモッグが偏西風に乗って日本にも影響を及ぼしたりします。

 日曜日、立ち寄った早朝のコンビニで、大型トラックの運転手さんが数人で語り合っている声が耳に入った。
「日曜も休日も無いくらい忙しくなった。」
「忙しくなればなるほど、経費は節減される。」
「ガソリンの値段が下がったのに、タクシー料金は、変わらない。」
「仕事が重くなるばかりで、丘陵は変わらない。」
風が吹けば桶屋が儲かるという古典落語を思い出したりした。

 1月も半ば過ぎれば、正月気分も吹き飛んで、冷たい風が吹き始めます。
窓を開け放して、「オニ は 外。福は内」と大声をあげて、豆まめをまいて福の追い風を呼び込みましょう。                         鬼は春を呼んでくれます。
でも、子どもたちにとっては、鬼は、絶対に来ては困るお客さんです。
年長の子どもたちは、あの恐怖の鬼の来襲への備えを考え始めました。
今年のNHKTVの大河ドラマ「真田丸」と同様、松組では、これから、段ボールで要塞を築き始めます。
松組さんにとって、幼稚園で過ごす日は指で数えるほどです。残り少ない日々を楽しんでください。