7月号 ♣直感力を育てる♣

2017年06月21日

理事長コラム

     直観力を育てる

松組の子どもたちと一緒に、あじさいの花をデッサンしました。
「ワタガシみたいだね。」「つぶつぶがたくさんあるね。」
手渡されたあじさいの花をていねいに子どもたちは観察しています。
そこで、私の「教えたがりやの虫」が、うずうずして一言。
「小さいたくさんのつぶつぶが「花」なんだよ、それでは、まわりの四枚あるのは・・・なんだとおもう?」だんまり・・・。
想定した「花びら」という答えがでてこない。
「がく? がくかな。」やっと、物知りのKちゃんが、答えてくれた。
「正解。花びらと思ったろう。周りの花びらに似ている四枚は、花びらではないんだよ。」と伝えた。しかし、花びらとがくの違いについては、この年齢の子どもたちにとっては、あまり興味のない話だったようだ。
五歳という年齢は、三歳とは異なって、もっと、深く推測したり、想像したりして、不思議な世界にひたったりする反面、ごく現実的で、興味のあることは何度も聞き直したり、図鑑で調べたりします。
そこで私たち大人は、子どもから質問を受けると、これ幸いと質問以上のことを教えこんだりして、自分で学習していく意欲や体験である「気づき」のチャンスを奪ったりしがちです。こんな事例があります。
台風の翌朝、出勤前のパパと近くの公園に散策、木が倒れて池に落ちている枝が 光の屈折で恐竜の形に曲がっているように見えた。Tちゃんは、拾って見ると普通の 木の枝だった。「あれ、池の中では曲がっていたのに・ ・・変だよね。パパ。」
後日、T君が、小学校の理科の時間で光の屈折を学んだ時
「あっ!そうだったんだ。あの公園は、魔法の池では無かったんだ。光の屈折だったんだ。」と気付き納得しました。

     子どもは、ものしりです。

誰から教えられるのか、どこで覚えたのか、
不思議なほど、いろいろなことをよく知っているのに驚かされます。
どろだんごの作り方、水かげん、白砂のまぶし方、
ダンゴムシの住み処、コンクリートの塀にカタツムリがいること、
幼稚園のつちカエルが卵を産む場所と時期、
甲虫の幼虫がいる腐葉土のある場所、そして腐葉土の作り方。
「どうして、コンクリートの塀にカタツムリがいるの?」という質問。
早速昆虫図鑑を開き、さらにネットで調べて、
「コンクリートにカタツムリが必要な滋養分があるみたいだよ。」
「じゃぁ カタツムリはコンクリートを食べているんだよね。」
森に出かける前の準備をしている茂樹先生に子どもから声がかかった。
「せんせー、もしかすると、あめがふるかもよ。」見ると西の方向の空が暗くなって、黒い雲が流れていた。
「そうだね。きっと雨が降るから、急いで準備をしとくよ。ありがとう。」
「お手伝いしていい。」「ありがとう。リヤカーを押してくれると助かるな。」
「わかった。今、友だちを呼んでくるよ。」
梨畑の上の空が暗くなると、雨が降ったり、雷がなることも、子どもたちは知っている。さらにリヤカーの重さを推測して、友だちの助力を必要とすることも、理解できている。これも教えたのではなく経験から学んだのでしょう。
自然と共生する
幼稚園の園庭の木々のみどりは、今年は、一段と濃いように感じます。
地球温暖化の影響でしょうか、びわの実も、ジューン・ベリーも桑の実も例年より早めに実をたくさんつけました。
「木の実が豊作の年は、根につくイモや野菜は不作」と聞いたことがあります。先日植えた畑のサツマイモやジャガイモが、元気に育つといいですね。
小さい頃に信じていたことがたくさんあります。カラスウリの赤く熟した実を足に塗ると早く走れると聞いて、運動会の前日、カラスウリを探しに近所の山に登った記憶があります。
小さい頃は、全て理屈ではなく、心に描く夢が膨らむといいですね。
私たちの身の回りの自然は、生きていくための教材です。
幼児期に育てておく大切なことは、「直感力」です。
「直感力」、それは、地球に生きる「野生の生物」と同じく大自然の摂理が体に刷り込んでくれる「自らの経験から学んだ魔法の力」です。
海浜での潮干狩り、一目でアサリの住処を見つけるのもパパの直観力。経験を重ねた成果です。熟れたスイカの見極め方、おいしいお団子の美味しいお店の見分け方これも体験を重ねたママの直感力の成果でしょう。
「直観力」を身につけるためには、幼児期に様々な体験を刷り込んで、若い時期に失敗を重ねって獲得した「気づき」や「発見」の成果ですね。
教えられたものはすぐ忘れてしまい身につかないものですが、自分で気づいたことは体に染み込んでいろいろと役に立ちます。

       強いものが生き残る自然界の摂理

 この弱肉強食の社会が自然界の摂理です。しかし、人間は、考える力を磨き、知恵として、道具を作り、道具の使い方を極める術を磨き、自然界の摂理を超えて、生き残る術を極めています。病気になれば、医術で克服し、病にならないように病原菌と戦い身を保全する術も磨きます。しかし、これだけ科学の力に依存する生き方を追求すると、 逆に科学力による汚染された地球環境の中で、自然の恩恵を受けて生活することが難しくなりますね。人間が虚弱になり、自然と共生する適応力、抵抗力、生きる力が衰えています。
森林開発が進めば、森の木々は生き残るために、より強い花粉を遠くへ飛ばします。化学・医学が進歩するほど、街にはいろんな病原菌があふれてきます。
地球の歴史が地中深く埋没させた過去の資源や廃物を、地中深く掘り上げて、資源として再使用することで、地球環境をさらに汚染させる。大きな過ちを繰り返しているようで心配です。
人間は、人間同士がかかわって助け合い、競い合って生きていく動物です。それだけに、一人一人の個性や人格が尊重されることが優先されます。
個が輝く一方で、社会の仕組みにたかが緩んできた気がします。
たかが緩むとは木の酒樽等木の枠を占めるリングです。このリングが緩めば桶はバラバラになります。家庭や組織の樽の枠リングが緩んでしまっていると個々の輝きがバラバラになってしまいかねません。
いついかなる事態を迎えようとも、私たちは、子どもを真ん中に手を広げ結び合って、平和な環境を守っていきましょう。

       松組さんへのメッセージ

「好きなことをやりたいなら、ちゃんとルールも守りなさい。」
「今、君が出来ることはなんだろう」「今、なにをやりたいか」
「自分でできるのにやらないことがあったら、いますぐやってみたら。」
いよいよ松組さん。楽しみにしていた大房岬のお泊まり会ですね。
楽しみだけど、ちょっぴり不安かな? 三年間一緒に育った仲間と一緒の部屋で同じ布団で、一晩語り合えるんだ。海も山もバスの中もキャンプファイアーも楽しいことばかりさ。おねしょが シンパイ? 大丈夫、先生が上手に見守っているから。心配なし。
「他人に迷惑をかけない。自分のことは自分でする。時間を守る。」
このルールさえ守れば、楽しいことばかりだから、心配することないよ。
大房岬は、魚とびわとスイカがおいしい東京湾に突き出した海に囲まれた公園内の施設です。隣が立派なリゾートホテル、周囲は県立公園の野外施設、坂を下っていくと館山湾に面した白い砂浜のビーチで岩あそびができます。
去年の松組さんは、浜辺で波遊びをしたり、岩場でカニや小魚や貝をとったりしました。岩にたまった海水が温かく温泉あそびでゆったりしました。
泊まるところは貸し切りでゆったり過ごせます。ここは、小高い丘の上にある災害時の緊急避難場所に指定されているので安心です。宿舎から五〇〇mの広場でキャンプファイアーをします。満天下の星空が空いっぱいに広がり、キャンプファイアーの火の粉が美しい幻想の世界です。先生たちの名物のファイアーショーは一生の思い出に残るでしょう。
展望台からみる対岸の三浦半島の夜景も美しく昨年は、対岸の打ち上げ花火大会をいることができました。
翌日は、天気が良ければ鋸山にチャレンジします。コースが色々選択できるので、当日のコンディション状況で判断します。頂上から見る絶景は一生の多い出に残るでしょう。
観光バスがシートベルトの関係で、大人と同一料金になったりして、ご負担をおかけすることになりそうですが、なるべく簡素にして、しかも安全で充実した思い出のページになるように努めたいと思います。
ご理解ご協力のほどお願い申し上げます。