♣7月号 子どもは口元を観て学習する♣

2020年07月01日

理事長コラム

6月23日、園庭で年長松組の「進級式」が行われました。
それぞれの部門の先生たちが、お話をしました。結構長い時間でしたが、
とても上手に話を聞いてくれました。私は園章の「麦」の話をしました。
「幼稚園のマークはなんでしょう?」「???」「麦です」「ムギ?」
「畑に蒔かれた麦の種は、冬、凍りつく冷たい地面から芽を出します。
その芽をお百姓さんは、足で踏みます。麦の芽はぺったんこ、しおれてしまいそうです。次の日、朝日を浴びて麦はグーンとまっすぐに伸びます。その麦を またお百姓さんは、しっかりと踏みしめます。麦の芽はぺったんこ。
でも翌朝、麦は、背を伸ばして、もっともっと元気にまっすぐ伸びていきます。
踏まれても踏まれても元気に伸びる麦は、実をたくさんつけて、おいしいパンの原料になります。
園歌は、踏まれてまみれてなお伸びる 青き麦の芽のように
「世に立ち、正しく 生き抜くぞ」
「立て 走れ、飛べ健伸の子よ」で始まり、
「ゆくは果てしない大宇宙」で結びます。
園児がこの内容を理解するには、3年かかる気がします。しかし、3年間歌い続けると、心の風船が大きく膨らんで、歌詞の世界が広がっていくことを願い、私が36歳の年、木造の3教室の一室に閉じこもって一日で書き上げました。
浜松から新幹線で毎週、指導に来園された佐藤忠三先生が一週間で作曲されて、翌週、大阪でレコード盤にして発表しました。
当時は、宇宙を目指すなど、夢世界でしたが、宇宙開発が進んだ現在、子どもたちが成人する頃は、宇宙への旅は大いに可能性が出てきましたね。

      「コロナってねるの?」
幼稚園に「子どもの元気」がもどってきてくれました。
子どもたちに囲まれて幼稚園も「元気」がもどってきて幸せです。
でも正直、子どもの活力に圧倒されて、先生たちは、最後バスを送り出した後は、気も体力も疲れ果てて沈むような疲れを感じています。
教務会議で、「疲れたね。でも、今日も幸せでした」が共通の感想です。
そして、スタッフ共通の感想。
「泣いても、息苦しくても子どもは、マスクをとらない」
「手洗いも、うがいも・・・とても素直に積極的に自主的に、素直に行動してくれる・・・・」そして、不思議なことには、コロナの話題は、ほとんど聞かれません。
それでも気になるのでしょうね?松組さんの4人、ホールの前にいる私のそばに近寄ってきて、小さな声で
「コロナは、雨でもとんでくるの?」
「コロナは何を食べるの?」
「コロナも ねるんだよね」私も虚を突かれて「えぇ?どうして?」
「だって、夜はマスクして ねなくていいんでしょう」
「ぼくコロナ見たんだ。まわるくて黒い蜘蛛 みたいだった」
テレビで見たんでしょうね。                                                                                                                                         適当に答えないように勉強しなければとネットで調べたりしています。

      口元から学ぶ乳幼児の学習
赤ちゃんから幼児までの乳幼児期は、子どもは身近な人の口元をじっと見て育ちます。赤ちゃんは、お母さんと口の動きでコミュニケーションをします。
私は、子どもと話すときは、子どもが私の口の動きを見られるように、ゆっくり話しかけます。
赤ちゃんが生きていくために、「泣くこと」と「口でしゃぶること」と「媚びといわれるほほえみ」でコミュニケーションをします。
目がまだ見えない赤ちゃんは、何事も口で確認し、口で信号を出し、
「あぶあぶ ぶう ぶう」と声を変えて訴えたりしますね。
したがって、「口」こそ、赤ちゃんのコミュニケーションの手段なのです。
ママも赤ちゃんの口の動きを見聞きしながら、「そうなの~オッパイがほしいの~」とゆっくり話しかけて授乳します。
このように赤ちゃんは、ママの口の動かし方から言葉を学習していきます。
私は、バスの中で向かい合った赤ちゃんにベロを出して、何回かあやしていたら、降車する直前に、赤ちゃんがベロを出した。
「これが本で学んだ延滞模倣なんだ」と感動した経験があります。

      マスクとのおつきあい
しばらくは、マスクとのおつきあいが続きそうです。
それだけにマスクを上手に使えるといいですね。
水田里美さんの「口元の文化」のエッセイに「欧米では、口元のコミュニケーションを重視するので、マスクの利用はあまり見られない。それに比べて日本では、手や扇で口元を隠しながら、小声で話す古来からの文化がある。
欧米人は、口がコミュニケーションの手段で、人前でもキスをして親愛の情を伝えたりする。その一方でサングラスで目を隠す習慣があるが、日本人はサングラスを忌み嫌う文化がある。」と欧米との文化の違いに触れています
本格的な酷暑。長時間のマスク使用が、熱射病の原因になる可能性があり、強い日差しを避けてサングラスも使用されるでしょう。
幼児期は、吸う息、吐く息を司る「 肺や心臓」が発達し、腹式呼吸から肺呼吸に成長する大切な時期です。
呼吸が浅くならないように時々深呼吸をする習慣をつけましょう。
言葉や文字の文化になじめない子どもとのコミュニケーションは顔の表情です。マスクをすると保育者は幼児の表情が読みとれない。
けなげにマスクを我慢している子どもたちから一日も早くマスクから解放してあげられる日が訪れるよう心から願うと共に、あらためて酷暑のコロナ対策を村松保健士を中心に、検討していきたいと思います。
6月は送迎バスの運行を始めお弁当持参など各ご家庭のご協力ありがとうございました。
感染対策として園児の給食用のテーブルの増設、臨席との仕切り板の設置、配膳方法などの改善に努めています。またプールも浄水機も改善し、各保育室も空調設備も完備し体育館も7月末に完成。春先の休園の補講対策も整いつつあります。 引き続き各ご家庭のご協力のほどよろしくお願いします。