♠4月号 ポカポカ テクテク あした てんきに なぁれ ♠

2020年04月13日

理事長コラム

ポカポカ テクテク あした てんきに なぁれ

園庭には、桜の花びらが風に舞い、チューリップが開き、朝早くから小鳥たちが訪れ、ビオトープのカメも冬眠から覚めて、いつものように、春爛漫です。
世界中が新コロナ感染で、先が見えないトンネルに閉じ込められ、人の声や姿が消えている中で、自然の春の舞もむなしく感じる毎日ですね。
4月7日夜、首都圏に緊急事態が発令されました。
楽しみにしていた進級・始業式そして入園式にストップがかかり、そして4月末まで休園の要請がでて、頭を抱えながらこの原稿を書き直しているところです。
クローズアップされる不気味なコロナ菌の画像とお花畑に舞う子どもたちの笑顔が交差しています。メールを通しての幼稚園からの一方的な連絡だけの状況で、ご不安ご迷惑をおかけしています。残念ながら急きょ始業式、入園式は延期のご連絡をさせていただきました。申し訳なくお詫び申し上げます。
4月7日まで、私たちも、新しいステージに立つ、子どもたちを迎えるために準備をしてきました。幼稚園の園舎の清掃そして消毒。模様替え、園庭の整備、、、、幼稚園の隅々まで、大工、ペンキ、カワイ製薬の消毒、空気洗浄機の設置等、子どもたちが安全に生活できるように整備、消毒を念入りにしました。
保育室の引越し、園庭遊具の安全整備点検、下足箱やロッカーに新しいシールや名前を記入、カリキュラムの作成、会議、研修、、、、と教職員も、忙しさの中でも心が弾む思いで準備万端整いました。
ポカポカ・テクテク あした てんきに なぁれ」この鬱陶しいコロナを退治するためにも「がまん!我慢!!」ですね。
地球に感謝する教育 原点回帰
このコロナ感染への恐怖は、なんともうっとうしいですね。
私が5歳頃の終戦直前の思い出です。深夜、B29爆撃機の襲来を知らせるサイレン、防空頭巾をかぶって、カエルやヘビがいる防空壕に避難したつらい体験。それだけに戦争が終わって負けても心は晴れ晴れとしていました。「コロナの感染」への不安は、もし感染したら噂話の標的になり家族や仲間にも迷惑をかけるという恐怖感がありますね。そして、テレビの映像に描かれた感染地域を示すまっ赤に染められた世界地図は地球存亡の危機を思い浮かべませんか。今やウイルス菌の襲来、世界中が目に見えぬ恐怖、鎖国状態で国境を壁で封鎖されていきます。
ニューヨーク、ロンドン、パリ、銀座、上海の繁華街からは人の姿が消えて、スピル・バーグが描く「宇宙からの侵略」で廃墟になった感がします。
私たち地球人は、「利便さの追求」で、われらの地球を傷つけて、疲弊させている現実をしらなければいけません。
燃え続けるオーストラリアの山火事、房総半島を襲った風速50メートルの台風、山を崖を橋梁を飲み込んで逆流する台風の爪後、地震そして火山の爆発・・・地球の資源を掘り起こし、森林を開発し、核実験を繰り返す・・・経済を優先する現在の地球人への「地球の怒り」が「ウイルス菌」の噴霧をまき散らしているのではないでしょうか。
地球への畏敬、尊敬、感謝の教育が必要です。そのためにも、幼児期から原始体験を重視して、弥生式文化の時代にもどり、人間として持って生まれた「生きる本能」を育てる体験教育が大切ですね。
だいぶ以前になりますが、ロシアのヤスナポリアーナーの「トルストイ学校」を訪ねたことがあります。
リンゴの実をかじりながら、広大な牧草地に寝転んで悠久な時の流れを噛みしめる毎日をすごす幸せを体験できました。
子どもたちにゆったりとした時間を保障してあげたい。もし可能なら、子どもたちを南極の昭和基地で過ごさせたい。ネパールの山村でテント生活をさせたい。ゴビ砂漠をラクダに乗って旅をさせたい。真冬のアラスカで犬ぞりの体験をさせたい。
子どもたちに地球のすばらしさを体験させることで、子どもたちは、地球のありがたさを知り、地球の緑を守る意識に目覚めるであろう。
子どもはより子どもらしく
健伸の園歌に「踏まれて、まみれて、なお、のびる。」という歌詞があります。卒園前の年長さんが「ふまれて まみれて なお、マミレ・・・」と歌っているのを聞いて作詞者として苦笑してしまいました。
土にまみれ、太陽にまみれ、緑にまみれ、水にまみれる体験を通して子どもは、強くたくましく成長していくのですね。
私は、健伸で幼児期をあそび、学び、生活体験した子どもたちが、9歳になった時、14歳になった頃、幼稚園で過ごした日々の経験が役にたつと信じて創立以来、実践してきました。
人間には成長の節目があり、5歳、9歳、14歳は、人間として、心も身体も内面から育つ力で、「脱皮」をする時期と考えています。
「脱皮」は、次への飛躍となる衣替えです。人間として成長する柱である根っこは、幼児期に獲得します。
幼稚園で、自分を育て、友と絡み合って育つ「体験」が、児童期に、思春期に、必要な力となって、子どもたちを支えてくれるものと信じています。
幼い頃に、夢中で遊んだ体験や憧れが、心の奥底にすり込まれていると、成人しても少年のように、いつも夢を広げ、心をときめかせて生きることができると思います。
「子どもはより子どもらしく」は健伸の教育の理念です。
冒険心にあふれる子ども、
好奇心を持ち意欲に満ちあふれる子ども、
ドキドキする世界を楽しむ子ども、
いたずらをしてクスクスする子ども。
自分で考え工夫する力を大切にする子ども。
自分の力で考え、調べて、実行する子ども。
明るく元気に挨拶できる子ども。
子どもらしく育つためには、子どもにゆったりとした空間と悠久なる時間を保障してあげることですね。
年長の子どもたちと絵を描く時、
「描きたいものを画用紙に描く前に心のキャンパスに描いてみよう!」とお話しをします。同じように4歳になったら、「お友だちの心に自分がどの様に映っているか考えてみよう」
そして6歳になったら、「心の袋を広げて、お友だちをたくさん住まわせてあげよう」と語りかけています。
幼稚園の3年間に子どもたちは、様々な体験を繰り返して自らの育つ力で育っていきます。
本物との素敵な出会い、興味を持とう、調べよう、やってみよう、繰り返そう。夢を語ろう、夢を広げよう、夢にチャレンジしよう。人の役にたてる喜びを実感しよう。
あそべ、仲間と知恵と経験を共有してあそぼう。
しっかりと自分を主張して、友だちの話も聞こう。自分の特技を磨こう。自分を鍛えよう。
自分を大切にしよう。自分を好きになろう
五歳になったら、自分のことをぼく、わたしと呼ぼう
さぁ 今は我慢、新コロナウイルスが終焉した時が春の訪れです。
子どもの時に帰って「あーした てんきに なーれ」
いろいろご迷惑をおかけします。難しい課題の中で私たちも子どもの安全健康を第一義としたこのコロナ対策に努めたいと思います。