新年号 ♣ 冬は空から夢が降る♣

2017年12月22日

理事長コラム

私は、このところよく夢を見ます。明け方、ドラマのような夢を見ることがあります。また夢の続きを見たりします。面白い夢は、時々日記帳に書き留めたり、印象に残る場面をスケッチブックに書き残したりしています。

12月18日の夢。「子どもたちがどこかの素敵なステージに立っている。私が太鼓をもって雲の上にいる。突然の風が吹いて、大きな雲のプールに腹ばいになった幼い子どもたちが、下界を見下ろしながら地上のステージに向かって滑走していく。ステージのカーテンが虹になり、子どもたちが楽しそうに私に向かって手を振っている。」

もしかしたら、前日の年長松組の浦島太郎のオペレッタ-の印象が脳裏に残っていたのかもしれません。12月のこのせわしい時期に、この年齢になっても、日々の生活においても、子どもの世界のような幻想的な夢を見ることが出来てとても幸せです。

2017年も後わずかですね。今年を象徴する漢字は「北」でした。「北」はシャープで、鋭さ、キレを連想しますね。お相撲さんも北のしこ名が多いですね。北朝鮮の脅威を象徴したのかもしれません。「北」に象徴される厳しい年だったのかもしれません。

私の「3年日記」を読んでビックリしました。昨年もこの時期の一日違いで、子どもたちと雲に乗って下界を楽しそうに覗いている夢スケッチが描かれていました。

仕事柄、年齢的にも日々同じ生活なのかもしれませんが、二年も続けて子どもたちに囲まれて同じような夢をみるなんて・・感謝しています。

私の中学校の頃からの恩師、絵画講師の合志先生が、怪我ををされて、私が子どもと一緒に絵を描いています。大学の講義とは異なり、子どもたちが絵を通して語りかけてくる世界(子どもの宇宙)を理解することの難しさを痛感しています。

「いつの時代でも同じですが、どなたも大人になると、今時の子は・・・・」と嘆いたりしますが。私の半世紀にわたる経験からすると、「今の子どもたちは、未知の世界を生きる力を秘めています。」と答えていますが、子どもたちの描画活動を通して子どもたちの秘めたる力にふれた一年でした。

三歳児が語りかけてくる。耳を寄せるがよく理解できない。聞き返すことをためらって・・・「そうだね。よかったね。」と適当に答えたりすることがたまにある。

正直のところ音声は聞こえても、言葉・単語が聞き取れない。子どもの絵を理解するためにはもう一歩踏み込んで、「ごめんね。かべん? もう一度言ってみて」と子どもに聞き返してみる。かびん(花瓶)のことね。」と会話するようになりました。

絵を描く時の子どもは、つぶやきます。その声に耳を傾けながら、子どもと共に絵を描いている時間がとても充実しています。

子どもの主体性を尊重するということは、子どもを放置放任することではなく、きちんとしたルールや基礎能力を身に着けることにより子どもの主体性を発揮する途が開かれます。絵を描く、リズムにのって踊る、歌う、ものを作る・・・表現活動においては、より個性を発揮するために基礎基本の学習を身に着けることが大切です。「基礎基本を学ぶ世界」と筋道、道理も軌道から外れた「自我の夢世界への経験」は決して相反するもの絵はないです。しつけが大切か自由発想の戯れの両面性があって、私は「両義性」として大切にしています。

ただ、形から入り形で固める教育は、自分は不得手なので近寄らないようにしています。「サンタクロースが本当にいるの?}という質問に幼稚園児であれば、「フィンランドであってきたよ。」ロバニエミというサンタ村で握手している写真を見せてサンタの真似までします.小学校5年生あたりになれば、写真を見せてもその子の心の判断にゆだねます。幼児期は、戯れとファンタジーと現実の世界で生活しているのでしょう。それだから不思議なことが多く質問することも多いのです。ありえない行動や質問が出てもそれは、子どもらしい戯れの世界だと認め、時には一緒に疎の世界で楽しむことも大切です。

脚本家である三谷幸次さん演出のドタバタ劇の躍動が大好きです。

あのテンポの良さは、三谷さんのイメージ軸がしかりしているからこそ許されるその場のひらめきが躍動するのでしょうね。

ところで、年長松組さんの表現発表「うらしまたろう」は如何だったでしょうか。

「浦島太郎が、助けたカメに迎えられ竜宮城での乙姫さんのおもてなし。玉手箱を開けたらひげ爺さんになって現生に戻ったという」古くからのおとぎ話です。

この単純な昔話を120人の幼児が、オペレッタ風にあの狭いステージで表現する。「主任会議では、主役を作らずども子も3回は、ステージに立てること」という約束をそのまま子どもたちにおろして、お話作りを始めたそうです。子どもが話し合って決めるのですから、うらしまたろう、白雪姫、桃太郎から海賊まで広がり、結果的にはドタバタ劇になることは想定内でした。

案の定1週間前にわたしがのぞいた練習は、筋があっちこっちのちんぷんかんぷん。本番2日前の花組さん竹組さんの前での半ば本番では花組さんも真剣に見てくれて竹組さんから拍手が出ました。がどうにか形になって、迎えた本舞台。

子どもたちは、たくさんの手拍子で楽しんで下さるおうちの方のまなざしの中で、話を消化して楽しんでステージにたっていました。

昔懐かしいシブがき隊の「寿司食いねー」の曲に乗って、小魚さんたちの

寿司屋が自分をネタを枕を見立てたシャリの上にブリッジをして「いっちょあがり!」。考えてみれば、どっきりさせられるジョークですね。

浦島さんの腰につけたキビだんごで桃太郎に「そうじゃないでしょ。」といわせるジョークは竹組さんには通用しない世界。お気づきになりましたか。

女の子が一番やりたかった白雪姫の継母と乙姫様の二役。「世界で一番美しいのはだぁれ?」と乙姫様が鏡に映る自分に自画自賛。したがって乙姫様が10数人、それぞれ鏡に写した表情がかがやいていましたね。この年齢の女の子にとっては、できれば毎日、鏡の前で「せかいでいちばん・・・」演じていたいでしょうね。

元気の良い女の子が名乗りを上げた海賊軍団。日常と同じような松組女子パワーに、おされ気味の若殿様タイプのうらしまさん・・・・頑張りました。練習の時も、おされ気味のうらしまに「がんばれ」の声援。その都度、逆に海賊軍団の男の子も、ますます勢いずく。どうやったら、あの海賊軍団を倒せるか。話し合う。

結論、大ナタを振るう武器でどうにか浦島が辛勝しました。オペレッタ-というよりも上方風の劇にならざるをえませんでしたが、何より子どもたちは楽しかったそうです。狭い席で最後まで子どもたちの劇に参加して手拍子で激励してくださいましたことを感謝いたします。

T毛組さん竹組さんのオペレッタも素敵でした。おして花組さんも私が夢の中で見た雲の上から降りてくるようなかわいいステージでしたね。

来る2018年はどのような年になりますか。「夢」ある年にしたいものですね。

末筆になりますが母の会をはじめ各ご家庭のご理解ご協力をもちまして2017年を無事過ごすことが出来ました。どうぞ皆様かぞくそろって良きお年をお迎えください。