♠12月号 しあわせって自分できめるんだよ   ♠

2019年11月22日

理事長コラム

いま、君たちはなにができる?  こままわしかな? なわとびかな?
「いま しあわせ?」全員が手を上げる。
「しあわせって じぶんできめて いいの?」
「そうだよ。すてきなしつもんだね。しあわせって、君がきめるんだよ」
年長児とのお絵かきの時間に、こんな会話を交わした。
お話をすると、子どもたちは、心のキャンパスにそれぞれがステキなイメージを膨らませる。
心の中が幸せに膨らむと、画用紙に描かれたデッサンは、たわわに実った柿が色とりどりに描かれ、カラスや小鳥が飛んできたり、木の下で絵を描いている自分たちが登場する。楽しい絵には「自分」が登場することが多く、満足する絵には自分でほめた太陽が描かれたりする。
11月から12月、サラブレッドが牧場で放牧されるように、子どもたちは、月齢や年齢に関係なく、ゆったりとあそび、子どもの成長は内に外へと広がっていきます。この時期は、音楽、言葉、絵画などの表現力が育つ環境を大切にすると共に、友だち同士で関わり育つあそびが広がるように心がけています。
自然は日一日と冬支度。早朝、霜が降りて、朝の日差しをあびて、子どもたちが登園する頃には園庭のあちこちに穴があいたり、水たまりのぬかるみができます。
このぬかるみが、年中4歳児にとっては、魅力のある「あそびの基地」になります。砂場から砂を運んだり水たまりを繋いだり、でこぼこを左官屋さんのように板きれで平らにしたりして、工事現場あそびがひろがります。先生が箒を入れたのに、またたくまにぬかるみ復活。ぬかるみは、子どもにとっては、「パワーポイント」なんでしょうね。
年少3歳児は、この時期は、友だちとの関わりが広がって、プール横の花組広場での砂場でのあそびが、一人遊びから友だちとの協働あそびの基地に変わっていきます。先生がいなくてもむしろ、先生の目を盗んで活発にあそびを楽しみます。
先日、小春日和の園庭。ブランコの隣の砂場で竹組さんがハダシになって、作業している場に足を止めて楽しいひとときを過ごしました。
男の子も参加しての女の子中心の二つのグループのドロンコあそび。
リーダー格の女の子「パパ バケツに水もってきて!」と男の子に声かける。「どうして?」と男の子が小さな声でつぶやく・・・「いいでしょう男だから・・」。
「パパそこに穴をほって!」「そっちは やれば」「やるわよ。でも・・・」
「でも、水くむのは パパのしごとよっ!」
どうやら、家族ごっこのすな場あそび。水くみを指示された男の子、穴掘りを要請された男の子もパパ役をやっているらしい。
それにしても、女の子の「水くみは パパの仕事でしょ おとこだから・・・」の一言に私も思わず立ち上がりそうになった。
家庭でもキャンプでのテント生活で、水くみ等のハードな仕事は パパの役割なんでしょうね。はっとしたのは「おとこだから」の一言でした。やはり令和の時代になっても、「ママの仕事」と「パパの仕事」の役割分担があって、それは「男の仕事と女の仕事」に組み込まれていくのでしょうか。幼稚園でも無意識に男色、女色とヒモやノートや文字の表示に男女区分をしたり、並ぶときも男児と女児を分けたりする習慣があります。幼児教育だからこそ、男の仕事、女の仕事などと性差する習慣をつけないように課題として意識していますが、年中さんのゴッコ遊びの世界でも、台所のインストラクターはママで、水くみはパパの仕事なんでしょうね。
両親の愛をたっぷり刷り込まれた子は、10歳を過ぎる頃になると、親から自立して、自分で自分をコントロールする自律心が育つといわれます。
たっぷり愛を注ぐことと「過保護」は異なります。過保護とは、子どもが出来ることを親が親の都合で代行してしまう親のお節介のことですね。
躾(しつけ)は、可愛がってあげた代償です。乳幼児期に子どもへの愛情を注いで子どもとの信頼関係が構築されていることが前提だと私は信じています。
大人の「都合」で躾をすると、「自分でやりたい、やろう」という子どもの自主・主体性が育たなくなる心配があります。
まず、「やりたい」という気持ち(意欲)を大きく育てることが大切です。やる気は掛け算です。やる気がゼロなら能力が10あってもゼロです。
「やりたい意欲」をもってチャレンジしていくうちに、自分でやれることと他人の手を借りなければできないことが理解できるようになり、友だちと協調する心が育っていきます。
子どもは、大人の姿を見て「やって、いいこと」と「やっては、いけないこと」「やらなくてはいけないこと」を学習していきます。
大人目線で、子どもを動物の飼育のように訓練することは「やらせ」です。
確かに則効果的ですが、自分で自分を律する力とか、工夫し創造し、友だちから学ぶ「気づき」「意欲」が育たなくなる心配がありますね。
「危ない!」「気をつけて、だめ!」とイエローカードを振りかざし、ホイッスルを吹くお母さんとの「鬼ごっこ」は、どこでも見られる風景ですよね。動物の世界ではほどほどの手加減で子どもを学習させる(ジャグリング)学習方法です。
母と子の鬼ごっこは、3歳のお誕生の頃まで続き、幼稚園で仲間とかかわりあって、あそぶコミュニケーション力として育っていきます。
人間の生きる力は、仲間とのコミュニケーションをはかる能力だと思います。
3歳までは家庭で学び、3歳過ぎると友だちとの関わりの中で学び育ちます。友だちからものを学べない、友だちにものを教えることができない子どもは、社会的に成熟していきません。
両親の愛をたっぷり受けて育った子どもは、時が来れば、自主的に、友だちという群れの中に入りその中で生活していくようになります。
幼稚園は、遊びを通して子ども同士が学びあう学習の場です。
子どもは幼稚園という集団の場で、穴の掘り方、友だちとのかかわり方、縄跳びのとび方、木の登り方、聞き方、折り紙の折り方・・・を学習していきます。
健伸の教育は、3歳の時は、できるだけ拘束しないで、それぞれの自我な発揮の場を保障される環境を大切にしています。
4歳年中になると「自分の姿が友だちの心にどのように映るか」が見えてきます。この頃から、仲間と共有して生活していくためのルールや基本的な生活習慣を具体的に子どもに、「気づかせ」ていく環境の基にカリキュラムを編成しています。
年長は、友だちと力をあわせる協働生活の中で、子ども同士学びあい、育ち合います。「子どもが子どもから学ぶ」「年長児が年少児に教え伝える」この学びの循環がとても大切です。
年長さんの生活も後3ヶ月余りの健伸での生活。 心置きなくあそびきってください。