◆幼いときにみる夢に いつの日か出会う 子どもの心に夢が降る◆

2015年01月16日

理事長コラム

子どもにとっては、冬将軍の寒い冬も、クリスマス、サンタクロース、お正月、雪だるま、お年玉・・・ 夢いっぱいです。 あの不幸な東北の震災以来、私たち日本人は、大自然の懐に包まれて生き て いくことの運命の 大切さを身をもって、 学びました。 今年も、地震、台風、火山の爆発で、 多くの 人命 を犠牲にし てしまいました。しかし、「手をつなぐ」ことの「力」と「喜び」も学ぶこともできました。 来る2015年は、羊の歳、羊は群れて生活します。子連れの羊は、時として、オオカミが、ひるむほ どの勇猛さを秘め、群れの先頭は、力関係ではなく、気迫ある羊がリーダーとなるそうです。

作家の伊集院 静さんが今年の成人式でのメッセージ

「木から落ちるリンゴを待つな」からの引用です。

「あの時、揺すってくれたら 落ちたのに・・・」

「若者よ、ゆすられるより、自分で揺すって、落とす勇気を持て」と、

行動することの大切さを語りがけました。

近頃は、自分のこと、目の前のことなのに、「他人事ヒトゴト」で傍観する評論家のごとき人が多い。環境が動いているのに、見て見ぬふりをして、自己弁護したり、自己評価したりする世代が多くなりました。

高崎山の猿軍団と同じく、上司が無気力になると、組織に職場に輝きが無くなり、停滞して、新しい組織が台頭します。木から落ちてくるリンゴは、味もおちる。自分の力で登り、自分の手でリンゴをもぐのです。時代の流れに乗るためには、自らが変わる。

子どもの保育のポイントは、幼稚園での生活リズムです。保育者が設定する保育に一定のリズムが重要です。四拍子のワルツもあれば、タンゴのテンポも必要です。教師の日々の生活のリズムが、惰性に流れると、子どもの伸びる力のリズムが狂います。したがって、子どもが大半の時間を過ごすご家庭のリズムは、子どもの伸びるリズムに影響を与えます。その意味では、私たちは、足を止めて、周辺を見直し、生活のテンポを変えてみる勇気も必要としますね。

人それぞれに生活のリズムがあります。多忙で身も心もゆとりに欠けている人は、「多忙の『忙』とは、心を亡くすと書くのだから、せめて正月はゆったり過ごそう。」 と考えたらいかがでしょう。ご近所とか親しい方との心のこもった「ふれあい」や「思いやり」とか「親切・挨拶」が欠けてきたのは、すべて時間に追われる「多忙さ」のせいにしがちですね。

しかし、時間があっても、時間をもてあまし戸惑うこともありますよね。多忙さがすべての原因ではなさそうです。テンポが速くなった都会では、「おさきにどうぞ、」「しつれいしました」「お互い様」等の挨拶は、必要で結構日常で交わされています。問題は、「ありがとう」という言葉を言うだけで、自分のやるべき仕事を他人にかぶせてしまう傾向が見受けられませんか。

伊集院 静さんのメッセージのように、行動をしない「他人事ひとごと」人間が増えてきたことです。もしかすると、今の時代は、大人になりきれない三才児の社会なのかもしれません。ただ、幼稚園の三才児の世界と大きく変わっているのは、私たち大人社会には、「夢」や「志」に欠けています。

あの震災にもめげず、力を結集して黙々と復興に励み、数年後にオリンピックを開催して、世界中の方々に 感謝の「おもてなし」をしようとする日本の意欲と行動力が注目され期待されています。

日本でオリンピックが 開催される頃には、今の子どもは、昔の元服、15歳になります。15歳という年齢は、夢実現の第一歩です。 この時期から、フェアリーな世界と現実の世界が交差して、何事 にもためらわずにチャレンジできる可能性が 保障される楽しい時期なのです。

幼いときに見る夢に、いつの日かであうときがある。出雲の市長を務めた岩国さんの言葉です。 母と子の家庭 で育った岩国さんは、野良仕事を手伝いながら、村役場を指しながら、 「あの役所の村長になってお母さんを 幸せにしてあげる。」と誓ったそうです。 アメリカの大きな証券会社の副社長を勤めた岩国さんは、日本に戻り、 お母さんと約束したように 故郷の出雲市の市長になりました。

子どもが、「志をたてる」ことは、すばらしいことです。 かつての歪んだ学校教育の反動でしょうか? 「志」そのものが、否定される風潮がありました。 司馬遼太郎が描く、 維新の明治時代、四国の松山、貧しい家庭で育った秋山兄弟が見上げる「坂の上の雲」は、新しき時代への 灯火でした。士農工商の身分制度の中で、自分の生き方を選択できることの可能性の輝き。 その頂を目指して 厳しい坂を上れる希望を『志』と仰いだのでしょう。「末は、医者か大将か大臣か」往事の限られた職業選択肢 からすれば、現在は、宇宙の世界まで広げられます。

お正月は、子どもの夢を広げて下さい。お父さんの「ドキドキ体験」、お母さんの「幼いときの夢」、 「お父さんと お母さんの出会い」「昔のお正月のこと」・・・、お正月には、コタツにでも入ってミカンを食べながら 子どもと語り 合ってくださると・・・

子どもの夢の世界が広がります。 「サンタ、お年玉、ミッキー、ムーミン、スノーマン・・・・雪、霜、氷柱・・ 冬の空には子どもの夢が輝いて子ども の夢を温かく包んでくれます。子どもにとっては、冬は夢世界なのです。この夢の世界が蓄積されて、その子の 個性や特性として 「キラキラ星」「感性」になって、人生を支えてくれるのです。

わたしは、子どもを喜ばせることを日々、たくらんでいます。園庭に山を造ったり、穴を掘ったり、 大きな滑り台を 造ったり、なぞなぞ、手品・・・あれこれ工夫し、楽しんでいます。

クリスマスのシーズンには、ゴージャスな衣装を着て、サンタになりきります。翌日、子どもたちは「あのネー、 サンタクロースさんからキャンディーをもらったの、いいでしょう。 せんせいもくれば よかったのにー!」 と報告してくれます。

その瞬間、たまらなく幸せになります。 「じつは・・・」などとは決して云いません。 鏡の前で何回も何回も練習します。

昔のことですが、フィンランドのキッティラー空港から一時間、北極圏に 位置するラップ地方の 「サンタ・スクール」に入門したことがあります。 スノーモービルに乗って雪山の奥深く に入って、クリスマスの木「トーヒ」の伐採、飾り付け、クリスマス料理・・・実習や試験を経て「サンタクロースの情報官であるトンツーのディプロマを取得しました。サンタのふるさとで あるラップランドでは、サンタクロースは、「耳の山」に住んでいたと伝えられています。そのサンタに子どもたちの日頃の行いをサンタに報告する役割が「トンツー」です。

今年もトンツーになって、健伸の子どもたちの元気な毎日を報告したいと思います。

末筆になりましたが、母の会はじめ保護者の皆様には温かいご支援感謝申し上げます。

すてきなお正月をお過ごし下さい。